蓮田の匠:埼玉県地域経済活性化推進事業

久宗 泰二:ブロンズ像修復

依頼者の思い出を具現化する「ブロンズ像修復」という仕事

ブロンズ像の修復・復元という仕事は像そのものだけではなく、お客様の思い出も一緒に蘇らせる事だと考えています。
何事もなければ修復という作業は必要ありません。
汚れてしまったり、破損してしまったりして魅力を失ってしまったブロンズ像を本来の姿に戻すということ、
そしてずっと見続けてきたお客様の満足を得る事こそがこの仕事における重要なポイントです。

ブロンズ像の修復において一番大変な事は、「お客様の頭の中にあるイメージを再現する」という点です。
お客様は購入時の色に戻したいとおっしゃりますが、当初の写真が存在することは稀です。
ですからお客様の記憶を頼りに塗料を配合していくのですが、ただ再現するだけではいけません。
お客様の想像の一歩上の完成形になるように仕上げる事がなにより大切です。
自分では満足な仕上がりでもお客様が描く完成図の二歩三歩上になってしまうと、お客様が抱くイメージと違うと言われてしまいます。
お客様の記憶と自分の完成イメージを統合しながら、一つのブロンズ像を生き返らせていくのです。

鍛造製法を極めたからこそブロンズ像修復が可能に

今までは意匠性の高い門扉をオーダーで製作したり、
銀座のショーウインドウに飾るようなオブジェを鍛造の技術を使って制作していました。
私自身は専門的に美術の勉強をしてきたわけではありませんが、
芸術に造形の深いお客様の要望を形にしていく中で自然とデザインの知識や経験を得させていただきました。

鍛造とは金属の塊を叩いたり伸ばしたりして棒状にしたものを曲げたり、
あるいは削り出したりして造形物を作る手法ですが、仕上げに表面の塗装が必要になります。
ブロンズ像の修復はこの鍛造の仕事の仕上げの技術を活用して行います。
鍛造製法は仕上げが重要で、塗りや磨きの技術が不十分であればお客様に満足してもらえないわけです。
この仕上げを30年以上も続けてきたからこそ今の自分があります。

ブロンズ像修復という仕事を世に知らしめることが私の責務

ブロンズ像の修復という職種は、残念ながらまだ世間の認知度は低いです。
そのため破損してしまった銅像や、経年劣化などにより塗装が剥げてしまった状態のまま放置されている場合が多いです。
最悪の場合、破棄してしまう人も居ます。
なぜならブロンズ像を修復したいと思っていても誰にお願いしていいのかわからないからです。
ですから傷んでしまったブロンズ像でも、修復やメンテナンスができるという事実を普及させていきたいのです。

当たり前ですが、ブロンズ像の修復技術を身に付けることは一朝一夕ではできません。
塗料の配合や重ね塗りの技術を、プロとしてお客様に提供できるようになるには最低でも5年はかかります。
この技術を若い世代に伝えていきたいのですが、
ブロンズ像の修復という仕事で生活ができるレベルまでお客様が増えないと技術を継承しても長続きしません。
目の前のブロンズ像の修復を行うとともに、修復・復元という業態を啓蒙していくのがこれからの私の仕事でもあります。

経歴

鉄・真鍮・ステンレス工芸品の製造販売をおこなうキャピタルアート代表。
繁華街の街頭イルミネーションやショールームのオブジェを中心とした意匠性の高い製品を提供していたが、独自の鍛造技術を活かしたブロンズ像修復およびメンテナンス業務を開始。
全国の美術館や個人宅のブロンズ像の修復依頼を受けている。

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