蓮田の匠:埼玉県地域経済活性化推進事業

エアブラシスプレーガンを持つ手にも3年

エアブラシアートを描くにはスプレーガンという器具を使います。
スプレーガンはガンという名の通り銃のような形状をしており、トリガーを引くことにより塗料とエアが一緒に放出される仕組みになっています。
私はこのスプレーガンを握ってもう15年近くになりますが、きちんと仕事としてお金をもらい始めたのはここ10年ほどです。
最初の3年ぐらいは恥ずかしくてお金などいただけない状態でした。
幸いにも本職は自動車板金業なので練習用の鉄板や塗料はたくさんあり、毎日のようにスプレーガンで絵を描いていましたね。

スプレーガンは練習さえしっかりすれば誰でも上手になります。
ただエアブラシアートはスプレーガンの技術だけではなく、題材の構造を見極める能力と調色センスも必要になります。
使う塗料の色は基本的に白黒青赤黄の5色だけです。
この5色を混ぜ合わせたり重ね塗りしたりして立体感や深み、リアリティを出していきます。
この調色技術も非常に重要で、1滴2滴で大きく色が変わってしまいます。
スプレーガンの微妙な手の感覚と、色を認識する視覚、そして調色の知識と経験が交じり合って一つの作品ができあがるのです。

スプレーアートで大切なポイントは影とボカシ

スプレーアートのポイントは影です。
最初から形を描くのではなく、次第に絵が浮かび上がらせるような描き方が普通の絵との違いです。
使う塗料の色は本当に薄い色なのですが、この薄い色をどんどん重ねて濃くしていきます。
黒だけでも陰影で立体感を出すことが可能です。
途中まで見えないものが急に浮かび上がってくるので、作業している様子をお客様に見せるとびっくりされる方が多いです。
実は僕はきれいな円は鉛筆では描けないですけど、エアブラシならできます。
不思議な感じですけどね(笑)

エアブラシアートで一番難しいのは人物です。
お子さんや恋人の写真を描いて欲しいという依頼が多いのですが、細心の注意を払って描いています。
人物はまず似せることが最も重要です。
目が特に難しくて1mmの誤差で表情が大きく変わってしまいます。
また、肌の陰影、髪の毛の流れなどポイントは多数あり、細い線を描く時は息を止めて塗料を噴き付けています。
写真の中に含まれている様々な要素を見極めパネル上に再現する。
非常に気を遣う仕事ですが、完成した時の充実感や達成感は格別です。

エアブラシは笑顔を生み出す魔法の筆

エアブラシの事を私は「魔法の筆」と呼んでいます。
エアブラシを使って描かれた絵はスプレーアート特有の暖かみのある質感で、見る人の心を楽しくワクワクさせてくれます。
完成した作品を見たお客様に「似てる!」と驚いて頂いた時が一番嬉しいですし、この仕事をしていて本当に良かったと感じます。
本来であれば作業途中もお客様に見てもらいたいのです。
実際に絵が浮かび上がってくる過程を見ることで、さらに絵に愛着を持って貰えると確信しています。

空筆工房ではエアブラシという技術を通じて、お客様の笑顔と心を繋ぐお手伝いしています。
エアブラシの魅力や可能性をもっと知って貰いたいと考えながら、一枚一枚心を込めて描いています。
この想いがたくさんの人に届いてくれればこれ以上の喜びはありません。

エアブラシスプレーアート:吉田紘教

魔法の筆で描く壁画・光る絵専門「空筆工房」代表、および板金塗装/エアーブラシ/カスタムペイントをおこなう「Body Shop YOSHIDA」代表。
エアブラシアート特有の暖かみや柔らかみのある質感の絵を、お客様の希望に合わせて制作。
自動車板金で培われた調色技術を活かし、カラフルな色彩からシックな色彩の絵まで幅広く提供している。
また、エアブラシ教室も開催しており、広く技術の継承をおこなっている。

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